徹底したこだわりが「一つ上」の家具を作る
HUKLAのモノづくりにおける「こだわり」
━━HUKLAのモノづくりの現場において、魅力的な製品を作る秘訣はどのようなところにあるのでしょうか?
日本フクラ株式会社 南濃工場長 白拍子様:弊所で働く社員が製品を作る上で第一に考えていることが、「お客様に最高の商品をお届けする」ことです。これが製造業として欠かせない考え方であると同時に、最重要課題として日々生産活動を行っています。お客様に満足いただける商品をお届けするためには、最高の品質を維持することが必要となりますが、それを実現する手段として、使用する材料を厳選すること、製品をつくるための手順・方法・ルールを決めて遵守していくことが非常に重要になるのです。
弊社の製品は、ミシンや生地を留めるためのタッカーなどを除けばほぼ全ての工程を手作業で行っています。
人の手で作るとなると、どうしても作り手によって品質に差が出やすくなります。それを防ぐには、各製造工程における手順・方法を事前に決め、徹底することが求められます。例えば、生地を縫う際はmm単位で寸法を合わせ縫うのですが、寸法が狂う要因となるものはあらかじめ想定し、美しいフォルムづくりの弊害となる要素は徹底して省くことで、品質的にも安定した高品質な製品をお届けできるようになるのです。
また、このような生産管理だけでなく、布地などの材料にも徹底したこだわりを持っています。
弊所にある「試験室」では、布地などの材料を採用段階から厳選しており、強度、耐久性などにおいて予め設定した高いレベルの基準を満たしたもののみで生産を行っているのです。座面の材料であるウレタンについても、親会社であるイノアックコーポレ-ションから購入していますが、同社にて決められた規格に合格したものだけを使用しています。
つまり、「材料」と「つくり方」についてしっかりルールを作り、決められた手順で行えば、高品質な製品ができるという考え方のもと、モノづくりを行っているのです。
━━試験室で採用された高い水準の布地しか使わないとのことですが、やはり海外製品はその厳しい規格に合格できるものが多いのでしょうか?
白拍子様:じつは、海外の生地は見た目は美しいのですが、強度があまりないものが多いのです。日本フクラでは、耐久性度が充分だと判断されたものだけを厳選しています。海外ならではの見た目の美しさと丈夫で安心できる品質、良いところだけを兼ね備えた布地を厳選しています。
━━ご苦労されている点をお聞かせいただけますか?
白拍子様:弊社の製品は長年にわたりお客様にご使用いただけるように、強度・耐久性を確保できるように設計していますが、昨今デザイン性や機能面の充実を図るあまり、補強が必要となり重量が重くなる傾向にあります。「LITHOS・AD」についても背部のパネル部分などかなり頑丈な造りになっていますが、作業者は従来の軽量な製品を作ることに比べ体力的に負担がかかっており、このような点に苦慮しています。
また、最近弊社では女性目線を取り入れた製品が多くなっていることからも、女性でも組み立てが容易な軽量化された製品をつくることも課題となっています。
今後も試行錯誤を重ね、お客様のニーズに応え続けられるように努力していこうと思います。
━━「RUBEL」の肘が外れる仕様は軽量化によるものでしょうか?
白拍子様:それは昨今の住宅事情を考慮して、搬入のしやすさも考えて作ったためです。大きな家具を購入したものの大きすぎて搬入できない、吊り上げで窓から入れられず引越しに費用がかかってしまうなど、「搬入の際の問題」に悩むお客様が多いのです。
冒頭申し上げたように、第一に考えるべきことは「お客様に最高の商品をお届けする」ことですから、高い品質を維持する生産体制とともに、お客様のニーズに柔軟に対応していかなければなりません。その中で他社と差をつけるために、弊社は「どこまでお客様に寄り添えるのか」が重要だと考えているのです。
モノづくりの「つくり手」として
━━最後に、「つくり手」として、お客様に注目していただきたいところはどのような点でしょうか?
白拍子様:製品ひとつひとつ細部の丁寧さです。「座る」という機能だけであればどのようなソファーでも同じと考える方も多いと思います。しかし、日本フクラが同じデザインのものを作ったなら、座り心地には多くの時間・労力をかけて幾度も試験をし、ミリ単位でウレタンを削る・入れ替えるなどして一つの製品を創り上げます。縫製の美しいラインや先端の折り目もピタリとおさめ、人間の手ですべてを丁寧に作りあげているのです。
仕上がりの良さはもちろん、このように丁寧に作られた家具は耐久性も違います。
こだわりを持って高品質な製品をお届けしたいという想いの先には「長く使ってほしい」という願いがあります。そのような想いとともに、お客様に長年愛用していただければ、モノづくりに携わる者としては最上の喜びです。