エグゼクティブにふさわしい、ソファの色選びのポイントは?
ソファの色選びで迷ったら、まずはソファを配置する室内の色彩計画やインテリアイメージを考えましょう。
今回はインテリアのプロが「ナチュラル」「モダン」「スタイリッシュ」などインテリアスタイル別にソファの色選びのコツを伝授します。
あなたのソファ選びの際に、ぜひ役立ててください
目次
インテリアの色彩計画の基本
ソファの色選びの前に、まずはインテリアで色を考える際の基本知識を整理しておきましょう。
インテリアの色選びは「トーンマップ」で考える
出典:https://www.color-site.com/pccs_tones
インテリアショップで家具を購入する際に「どんな色調のソファをお探しですか」と尋ねられて、困ってしまった経験はありませんか?
インテリアの色の呼称はなかなか難しく、色鉛筆やクレヨンのように「赤」「緑」「青」と単純に呼べない、くすみカラー、ニュアンスカラーと呼ばれるものが多い傾向です。
さらに、木材・塗料・壁紙・サッシなどの鋼製建具・ドアなどの木製建具・テキスタイルなど、インテリアの構成要素にはさまざまな素材があるため、材料による呼称の違いもあります。
そのなかで、インテリアコーディネーターがよく使う色を表現する言葉の一つが「トーン」です。
上のトーンマップのように、明度と彩度を組み合わせたグループ単位で、色の特性を表現する仕組みが特徴です。
例えば、近年のインテリアのトレンドは、ベースカラーをトーンマップの左上にあるペールトーン(P)やライトグレイッシュ(ITG)のグループから選んでいます。
トーンマップの右側にあるビビッドカラーは、通常はアクセントカラーとして、ほんのわずかな面積に使います。
そのためソファの色も現在市場で流通するタイプの多くが、グレイジュ(ベージュ〜グレーを混ぜ合わせた色調)やグレー系、ベージュ系の穏やかなくすみカラーが主流です。
室内を構成する鋼製建具・床材・壁紙・木製建具は、以前は白・黒・焦茶などの単純な色彩から選んでいました。
しかし現在はグレージュ系を中心に木材や石材など自然素材に近い、ニュアンスカラーでの展開が増えているため、ソファもその影響も受けています。
ソファに限らず、インテリアの世界ではサステナブルなものづくりも考慮して、天然素材のナチュラルな色調を生かしたいという考え方もあります。
かつては白黒のソファがスタイリッシュで人気がありましたが、最近は卵の殻の色調に近いエッグシェルカラー、あるいはグレイッシュなトーンなど、ナチュラルなニュアンスを大切にしています。
配色の基本は「類似・対比」の2パターン
インテリアの配色ルールはきわめてシンプルです。
・類似(室内とソファが同一トーンのワントーンコーディネーション)
・対比(ホワイトベースの室内にコントラストの強いソファを配置)
厳密にいうと、配色パターンには同一と呼ばれるパターンもありますが、さまざまな素材を使って室内を構成するインテリアでは同一配色は一般的には使われません。
家具と室内の色を1トーンでまとめるのが近年のトレンドで、これまでは、アイボリー・グレー・ベージュなどの穏やかな色でまとめることが多い印象でした。
しかし最近では、カラーディッピングという個性の強い色で室内を一色に染め上げるインテリアが注目を浴びています。
インテリアのフォーカルポイントとしてあえて鮮やかな色のソファをレイアウトする場合
がありますが、それが「対比」と呼ばれる手法です。
インテリアの配色比率は「70:25:5」の黄金ルールを目安にする
インテリアにおける配色比率とは、床・壁・天井・建具類・家具を含めたインテリア要素を3系統に分けた面積比の割合のことです。
・ベースカラー(天井や壁など):70%
・アソートカラー(大きな家具・木製建具や床など):25%
・アクセントカラー(クッションやアートピースなど):5%
上記の比率で配色すると、カラースキーム上、おさまりのよい、安定した配色になります。
上の写真は弊社のコーディネート事例ですが、配色比率は以下の通りです。
・ベースカラー:あたたかみのあるアイボリー(天井・壁・ラグ)
・アソートカラー:グレー(ソファー・クッション)、ライトオーク(フローリング・テーブル)
・アクセントカラー:レンガ色(書籍・クッション)
ほぼ、配色比率の原則通りにおさまっていることが理解できます。
またアクセントカラーが効果的に使われて、インテリアテイストをより上質にしています。
なお、インテリアの実務ではアソートカラーをベースカラー・アクセントカラー以外の色と解釈することも多い傾向です。
上の画像ではソファのグレーおよびフローリング・テーブルキャビネット類の木部の色もアソートカラーに含めています。
このように実際の室内では、カラースキームを3系統に絞りきることは難しいため、以下のような工夫をするとすっきりとしたカラースキームのコーディネートが可能です。
・ベースカラーは面積が広いので、無難な明るめのトーン
・アソートカラーは、アクセントカラーとベースカラー以外の要素を含めるので、
・色は違っていてもトーンをそろえる
一昔前まで、ソファはアソートカラーとして、床の色に近いブラウンからベージュ系で選ぶことが多かったのですが、近年は、アイボリーやグレージュと呼ばれるグレー味のかかったくすみカラーを希望されるお客様が増えています。
アイボリーやグレージュは天井や壁とのなじみがよく、ソファの色をベースカラーとそろえて、ワントーンコーディネートでまとめるケースが増えています。
インテリアスタイル別、おすすめのソファの色・トーン
MAYSのコーディネート事例のなかから、インテリアスタイル別のおすすめのソファの色調をご紹介します。
イタリアンモダン
都心の眺望を楽しめる、ラグジュアリーでモダンなリビングルーム。
天井・壁面・ラグ・ソファで使われるグレージュ色がベースカラーになっています。
テーブル・サイドボードはフローリングの色調に合わせて赤味の強いチェリー/メープル系でコーディネートしているのが特徴です。
手前右側のパーソナルソファとサイドボード上のアートピースにアクセントカラーとしてコバルトブルーをさりげなく加えた、住み手のさりげないセンスがにじむ、くつろぎのリビングルームです。
高さを抑えたシンプルなフォルムのソファは、色味を抑えて、室内と非常によく調和しています。
色味はグレージュ・チェリー・ブルーの3系統にまとめ、イタリアンモダンテイストの洗練された空間に仕上がっています。
グレージュ(グレーとベージュを合わせたくすみカラー)のソファは、どのようなインテリアスタイルにもマッチする万能選手です。
ナチュラルモダン
天井と床が白、アクセントウォールがライトグレーのモダンなリビングルームです。
白い床の美しさを生かして、ターコイスブルーのラグとクッションをアクセントカラーにしています。
ソファはアイボリー系のくすみカラーで天井・床と同じベースカラーになります。
木製フレームを使ったナチュラルテイストのソファとラタン素材のテーブルをセレクトして、モダンな空間を演出しているのが特徴です。
海辺のリゾートを思わせるナチュラルテイストを巧みに取り込んだ好事例です。
実際の住空間では、モダンなペールトーンのインテリアのなかにナチュラルテイストのソファを組み込むなど、複数のインテリアテイストを組み合わせて、その人らしいくつろげる空間作りをご提案いたします。
イタリアンモダン
ホワイトベースの床・壁・天井を軸にして、ダークアッシュ系で焦茶色のソファ・サイドボードをセレクトしています。
右側のRC打ちっ放しのアクセントウォールとチャコールグレーのラグがアソートカラーとして効いています。
メープル系のCassina(カッシーナ)ZIG-ZAG(ジグザグ)チェア・フロアースタンド・アートピースをコーディネートしてスタイリッシュな空間に仕上げているのが特徴です。
コントラストの強い組み合わせですが、絶妙な配色バランスを実現してます。
MAYSでは、イタリアンモダンをベースにしたコーディネートを得意としており、豊富な実績がございます。
アーバンスタイリッシュ
メゾネットタイプのペントハウス事例です。
天井・壁にはベースカラーであるオフホワイトが使われており、ソファの配色も統一されています。
アクセントカラーとしてネイビーのクッションやテーブルウェアを配置しているのが特徴です。
オットマン・ラグは明るめのグレー系で清涼感あふれるスタイリッシュなコーディネートが魅力です。
それでも色選びに迷う人のために、おすすめのソファ5選
ソファの色選びに迷ったら、ソファを設置する室内のメインカラーの類似色でまとめると失敗がありません。
具体的には、グレー・グレージュ・アイボリーなど、室内の壁や床、鋼製建具や木製建具に使われている色と同系統の色で選ぶのがポイントです。
ここでは、室内のメインカラーに合わせたおすすめソファを5点ご紹介します。
グレー:SAke(サケ)|B&B Italia(ビー・アンド・ビー・イタリア)
出典:https://bebitalia.co.jp/product/sake-sofa/
「こんな部屋で暮らしたい…。」とつぶやきたくなる、グレートーンでコーディネートされたクラシカルモダンな空間です。
グレートーンでまとめて、色味の主張は極限まで抑制しているだけに、室内の意匠や家具の質感がポイントです。
抑制の効いた空間に浮かぶ満月のようなライティングがフォーカルポイントとして強調されています。
テーブルウェアはジャパンディの影響でしょうか、わびさびの世界観も垣間見ることができますね。
無難と言われるグレーですが、無彩色であるからこそセレクトする際には床・壁・ほかの家具との色バランスが大切です。
ぜひ最初に紹介したトーンマップで確認してみてください。
グレージュ:Andersen Quilt(アンデルセン・キルト)|Minotti(ミノッティ)
参考:https://minottilondon.com/products/andersen-quilt-sofa/
どんな色と組み合わせても、トレンド感が出るのがグレージュの魅力です。
Minotti(ミノッティ)社のAndersen(アンデルセン)は、座面にクラシカルなキルトタイプを使いつつ、バランスのよい洗練されたフォルムが印象的です。
端正でオーセンティックなたたずまいは、建築家ロドルフォ・ドルドーニの名作です。
自然素材:MARALUNGA (マラルンガ )|Cassina(カッシーナ)
出典:https://www.cassina-ixc.jp/shop/g/gmaralunga/
「木のテイストが好き」「天井や床が木で仕上げられている」というように、木や石など自然素材の質感を生かした空間の場合は、フローリングの色調とトーンを合わせた茶系のソファをおすすめします。
オーセンティックな空間ですが、美しいアーチの窓とCassin(カッシーナ)社の名作MARALUNGA (マラルンガ )ソファのふっくらとした優美なフォルムの調和が絶妙です。
メープル系の木材の色、グレーの壁・ラグとマッチした洗練された空間に仕上がっています。
石材:Brasilia(ブラジリア)|Minotti(ミノッティ)
出典:https://www.minotti.com/en/brasilia
アクセントウォールに石材が使われているなど、重厚でスタイリッシュな空間にはモノトーンのソファがおすすめです。
最近は、黒一色、白一色にせず、センスよく色違いのソファをレイアウトするコーディネートが増えています。
洗練された空間を実現するコーディネート法として、ぜひ参考にしてみてください。。
グレー:UTRECHT(ユトレヒト )|Cassina(カッシーナ)
出典:https://www.cassina-ixc.jp/shop/g/gutrecht/
「空間全体はオーセンティックにまとめたいけれど、コーナーに自分らしさを表現できるソファがほしい」というリクエストで、採用されることが多いCassina(カッシーナ)社のUTRECHT(ユトレヒト)ソファ。
ユトレヒトソファを置くだけで、洗練されたイタリアンモダンテイストの空気が漂います。
ここ数年、インテリアのトレンドは穏やかな優しい配色が主流でしたが、先日発表されたカラー・オブ・ザ・イヤー(PANTONE社)では、2023年の色としてViva Magenta(ビバ・マゼンタ)を選んでいます。
ここ数年、ニュートラルなくすみカラーが主流だったなかで、潮目を変えるような鮮やかな色が登場しました。
このトレンドを意識して、ベーシックな空間のなかに、鮮やかなアクセントカラーのソファを取り入れてみると、室内全体がアクティブな印象になります。
家具にアクセントカラーを持ってくる場合は、配色比率を考え部屋の広さに対して、全体の5〜10%以内にとどめるようにしましょう。
参考:https://www.pantone.com/
ソファの色選びで迷ったら、インテリアコーディネート実績が豊富なMAYSへ
株式会社MAYSは、エグゼクティブ層のインテリアコーディネートなど、ハイエンドのお客様への住まいのご提案をワンストップで承ってまいりました。
洗練された上質空間であると同時に、クライアント様の「その人らしさ」を大切にした細部まで行き届いたご提案を提供しております。
「ソファを買い替えたいけれど、どんな色がしっくりくるのか提案してほしい」というご相談もございます。
担当コーディネーターが、クライアント様のご要望を伺い、国内外の一流家具メーカーのなかから、ご要望にそったデザイン・スタイル・質感・色調のソファのご提案が可能です。
「こんなソファが欲しかった。しかし、受注生産で納期が2ヵ月後」という場合には、短期間の家具リースのご利用をご提案して、ご不便のないように手配ができるのも、特徴です。
トレンドをさりげなく意識した上質なインテリアコーディネートも、ぜひお任せください。
インテリアにマッチするソファの色選びから、クッション・ラグ・インテリア小物・アートのセレクトまで、お客様にふさわしいソファとソファ周辺のご提案をいたします。
文・藤江 薫(二級建築士・宅地建物取引士・インテリアコーディネーター)