イタリアの高級家具Cassina(カッシーナ)。歴史や歩み、2大コレクションなど魅力に迫る
イタリア家具はインテリア好きにとっては憧れの存在ですが、そのなかでも一際目立つ高級家具ブランドが「Cassina(カッシーナ)」です。
ハイブランドの家具好きなら、一度は見て、触れて、暮らしに反映したいブランドではないでしょうか。
しかし、カッシーナの存在を認知していても、これまでどのような歩みでモダンファニチャーのリーディングブランドとして躍進を遂げたのかわからない方も多いかもしれません。
そこで本記事では、改めてカッシーナの歴史、歩み、2大コレクションを振り返るとともに、最終的にはダイニングルームやリビングなど、空間別におすすめの商品を8点ご紹介します。
目次
高級家具「Cassina(カッシーナ)」の歴史
出典:https://www.cassina-ixc.jp/shop/g/gproject2552/
イタリアの「Cassina(カッシーナ) S.p.A」社と、日本の「Cassina ixc(カッシーナ・イクスシー)」社のこれまでの歴史を簡潔にたどってみましょう。
1927年~1948年:キャビネット製作から、デザイナーとの協働へ
Cassina(カッシーナ) S.p.A社は、1927年設立のイタリアンモダン家具を代表する企業です。
創業者のチェーザレ・カッシーナ、ウンベルト・カッシーナ兄弟は、当初キャビネット類を製作していました。
しかし、1948年以降デザイン部門と製作部門を切り離し、社外の建築家・デザイナーとの協働による家具製作に取り組み始めました。
1957年:軽さと美しさの極限を追究したSUPERLEGGERA(スーパーレッジェーラ)
1957年に発表された建築家ジオ・ポンティデザインのSUPERLEGGERA(スーパーレッジェーラ)は、軽さと美しさの極限に挑戦した椅子です。
一般的な木製の椅子は軽くても3,000グラム以上ありますが、イタリア語で超軽量を意味するスーパーレッジェーラは、名前どおりわずか1,700グラムしかありません。
18世紀にイタリアのキヴァリ地域で製作されていた、籐と木で作られた椅子をヒントに開発されたと言われています。
数年にわたる試作期間を経て、耐久性や座り心地などの椅子の機能を満足させながら、極限まで無駄な要素を削ぎ落して、スーパーレッジェーラが完成しました。
こどもでも簡単に持ち運びできる使い勝手のよさと、無駄のない美しいフォルムが魅力で、発売開始から半世紀を経た現在も、多くの人に愛用されています。
1964年:I MAESTRI COLLECTION(イ・マエストリコレクション)のスタート
同社では、ル・コルビジェ、シャルロット・ぺリアン、へーリット・トーマス・リートフェルト、チャールズ・レニー・マッキントッシュなどモダニズム建築家がデザインした家具の名作を復刻しました。
デザイナーおよび建築家の著作権を保護したうえで、I MAESTRI COLLECTION(イ・マエストリコレクション)として、販売したのです。
このプロジェクトのおかげで、現在でも、100年前にデザインされた名作家具の復刻版を購入できます。
1980年:日本における販売総代理店の創業
Cassina ixc(カッシーナ・イクスシー)社の前身である株式会社インターデコールが、設立されました。
その後、世界で唯一ライセンス生産を認められ、1994年に桐生市の工場での生産を開始しました。
2007年:フィリップ・スタルクのプリヴェコレクション発表
フランスのデザイナー、フィリップ・スタルクの代表作の一つとなる洗練されたデザインのソファ。
ソファとしても、デイベッドとしてもマルチに使える、カッシーナの「伝統と革新」を大切にする姿勢を体現しています。
コンテンポラリーからクラッシックまでさまざまなテイストのインテリアにマッチするシンプルで上質なソファは、大きな反響を呼び、その後のソファのデザインに影響を与えました。
2008年:Cassina ixc(カッシーナ・イクスシー)社の伊勢崎工場が操業開始
国内生産拠点を桐生から伊勢崎に移転します。
太陽光パネルの設置など工場内で使用する電力の66%を自然エネルギーでまかなえる新工場では、ライセンス商品の、より短納期での受注やきめ細やかなアフターサービスが可能となりました。
2022年:Cassina Pro(カッシーナ・プロ)の登場
新たに、ホテル・レストラン・オフィス・病院などの公共空間に対応できる家具を発表。
個人邸から商業空間や公共空間まで、それぞれの住空間にマッチしたCassina(カッシーナ)の家具・インテリアエレメントを展開しています。
伝統と革新を体現する二つのブランド
日本のCassina ixc(カッシーナ・イクスシー)社には「Cassina(カッシーナ)」と「ixc.(イクスシー)」の二つのブランドがあります。
ここでは、それぞれの特徴を詳しくご紹介します。
Cassina(カッシーナ)|1927年~
I MAESTRI COLLECTION(イ・マエストリコレクション)
ル・コルビュジエやチャールズ・レニー・マッキントッシュなど20世紀初頭の巨匠建築家たちの名作を復刻したもので、今なおタイムレスな魅力のある家具コレクションです。
オリジナルのデザインを踏襲しつつ、サスティナブルな材料の採用および仕上げなどで最新技術を取り入れたアップデートを行っています。
また、カラーやテクスチャーなど時代にマッチした仕様の見直しも随時行っています。
CONTEMPORARY COLLECTION(コンテンポラリーコレクション)
現代を代表する建築家・プロダクトデザイナーとの協業による革新的な家具コレクションです。
マリオ・ベリーニのCAB(チェア)、フィリップ・スタルクのPRIVE(ソファ)などCassina(カッシーナ)社のアイコンとなる名作が揃っており、2022年には、新たに建築家アントニオ・チッテリオとの協働プロジェクトが始まりました。
Cassina Pro(カッシーナ・プロ)
2022年に発表された新しいコレクションで、オフィス・ホテル・公共空間向けのコントラクト向け家具です。
このコレクションの家具はBIFMA(物理的耐性)、グリーンガード(製品の揮発性物質による汚染)などの認証済み製品です。
ixc.(イクスシー)|1990年~
イクスシーブランドは日本のCassina ixc(カッシーナ・イクスシー)社オリジナルのブランドです。
企業内デザイナーおよびリーディングデザイナーとのコラボレーションを中心に展開するixc. EDITION(イクスシー・エディション)と、世界各地の優れたデザイン家具・インテリアアイテムを厳選して販売するixc. SELECTION(イクスシー・セレクション)で構成されています。
イクスシーセレクションは、カッシーナとは異なる魅力的な持ち味の家具を紹介する、セレクトショップのような存在です。
CECOTTI COLLEZIONI(チェコッティ・コレツィオーニ)・DESALTO(デサルト)・Interstuhl(インタースツール)など9社と提携しています。
高級家具「Cassina(カッシーナ)」の魅力
出典:https://www.cassina-ixc.jp/shop/r/r111010/
ここでは、改めて高級家具Cassina(カッシーナ)の魅力に迫っていきます。
Respect, Protect, Create and Promote Design.
Cassina(カッシーナ)社の家具づくりの基本姿勢は“Respect, Protect, Create and Promote Design.”という言葉に現れています。
タイムレスなデザインを継承しながらも、仕様・材料・製造面で、常に最先端の技術を取り入れたリ・デザインを行うのも、この基本姿勢に基づくものです。
例えば、I MAESTRI COLLECTION(イ・マエストリコレクション)を代表する、ル・コルビジェのLCシリーズも、一見、オリジナルと変わっていないように見えますが、時代のニーズに合わせて、サイズの見直しや、環境負荷軽減となる材料へのバージョンアップを続けています。
素材の魅力を引き出し、組み合わせる発想と技術
皮・木・金属・ファブリックなど常に素材自体を吟味し、その魅力を引き出す技術もCassina(カッシーナ)の特色です。
例えば、皮を使う家具の場合、オーダー段階で国産、輸入それぞれX・Y・Z・ZZのグレードのなかから「皮」を選び、それを時間をかけて鞣(なめ)し・加工することによって、しなやかで手触りのよい「革」へと仕上げます。
革を使った、いかにもカッシーナらしい家具の一つにCAB(キャブチェア)があります。
1977年にマリオ・ベリーニがデザインしたこの椅子は、メタルのフレームに革のジャケットをまとわせたようなユニークな構造です。
発売以降50万脚以上製作された、ロングセラーの名作で、シンプルモダンでありながら、上質な革の魅力を楽しめます。
実際に、使い込まれたCABチェアに座ってみましたが、硬すぎず柔らかすぎずの快適な座り心地と、使い込まれた革ならではの、柔らかな光沢と美しい質感を楽しめました。
偶然カフェに赤いCABチェアが並んでいるのを見つけて、座ることができたのですが、椅子としてのたたずまいが美しく、座ってみると硬質な木のベンチとも、ふわふわソファとも違う、しなやかな感覚です。
重量は約7キロ、SUPERLEGGERA(スーパーレッジェーラ)の約4倍となり、使い込むことによって、上質な革の魅力がにじみ出てくる、味わい深い椅子です。
サスティナブルな素材の追究
同社では、ミラノ工科大学とCassina(カッシーナ)研究開発チームが連携した、カッシーナ・ラボによるサスティナブルな素材の研究開発を進めています。
LCシリーズをはじめ、材料の見直しや、リプロダクトが行われた製品は、36点にのぼります(2022年9月現在)。
DUDET(デュデット)チェアでは天然由来のポリオールを配合した100%再生繊維を使い、パッディングから、金属フレームや張り地を取り外してマテリアルリサイクルできるように、素材や構造の改良に取り組んでいます。
参考:サスティナビリティ配慮商品|Cassina ixc(カッシーナ・イクスシー)
より深く、より広く、進化を続けるCassina(カッシーナ)の世界観
Cassina(カッシーナ)社では、毎年The Cassina Perspective(カッシーナ社の展望)と題して新作を発表しています。
新しいデザイナーとの協業による作品の発表・ロングセラー商品の素材や構造のリデザインなどのなかに、“Respect, Protect, Create and Promote Design.すなわち、伝統と革新を両輪としてデザインするカッシーナ社の世界観を読み取ることができます。
卓越したデザインは、審美眼をもつ人々を常に魅了するのです。
高級家具Cassina(カッシーナ)の空間別おすすめ商品8選
ここからは、Cassina(カッシーナ)の理念を体現する空間別のおすすめ商品を8選ご紹介いたします。
LC6 TABLE TUBE D’AVION(ターブル テューブ ダヴィオン テーブル)|ダイニングルーム
出典:https://www.cassina-ixc.jp/shop/g/gstyling26/
上の画像は、ル・コルビュジエ、ピエール・ジャンヌレ、シャルロット・ペリアンによるLCコレクションのダイニングチェアとテーブル。
非常にシンプルで力強い構成です。
ダイニングテーブルの脚部には飛行機の部材を使い、さらにその上に細い支柱を建てて高さ調整ができます。
約100年前の作品ですが、まさにタイムレスな魅力が伝わってきます。
I MAESTRI COLLECTION(イ・マエストリコレクション)のなかでもアイコニックなダイニングセットです。
LEBEAU WOOD TABLE(ルボーウッド テーブル) |ダイニングルーム
出典:https://www.cassina-ixc.jp/shop/g/gstyling000139/
22本の無垢材の脚がおりなす、脚部の美しいカーブとスリットが印象的なテーブル。
2003年にフランスを代表するデザイナー、パトリック・ジュアンがデザインしました。
天板はガラスまたは木材から選べますが、美しい脚部を楽しめるガラスがおすすめです。
ダイニングチェアは、革の質感が味わい深い、CABチェア。
木・ガラス・革それぞれの持ち味を楽しめる、マテリアルコーディネートを意識した洗練されたインテリアです。
PRIVE(プリヴェ ソファ)|リビングルーム
出典:https://www.cassina-ixc.jp/shop/g/gprive/
フィリップ・スタルクによるPRIVE(プリヴェ)ソファは、最高の素材を使い、Cassina(カッシーナ)の伝統技術と最新技術を駆使して製作されています。
座面やアームレストにはボタンのタフティング加工を施し、リズミカルな陰影を出しています。
ホリゾンタルタイプのアームレストは、角度を変えてさまざまな使い方ができるため、プリヴェの大きな特徴となっています。
プリヴェには、カウチタイプやオットマンから2メートル四方のビッグアイランドまで、さまざまなシリーズがあり、空間に合ったレイアウトが可能です。
SORIANA(ソリアナ ソファ)|ファミリールーム
出典:https://www.cassina-ixc.jp/shop/g/gsoriana-sofa/
SORIANA(ソリアナ)は、1969年発売開始のソファです。
ふっくらとした愛嬌のあるデザインと快適な座り心地で、人気を集めました。
ギャザーたっぷりの量感のあるクッションを金属のフレームでまとめる独特の構造はそのままに、2020年にカッシーナラボが環境配慮型の素材と構造にリデザインしています。
カッシーナならではの美しい発色のレザーやファブリックですので、ファミリールームなどくつろぎの空間にもおすすめです。
BEAN(ビーンデスク)|スタディルーム
出典:https://www.cassina-ixc.jp/shop/c/c902020/
世界の一流家具メーカーと提携しているixc. SELECTION(イクスシー・セレクション)。
そのなかでも、ハイエンド家具愛好家、垂ぜんの的なのが、CECCOTTI COLLEZIONI(チェコッティ・コレツィオーニ)社のデスクです。
上からみると豆のようなカーヴィな形をしているのでBEANと名づけられました。
ウォールナット材を贅沢に使い、時間をかけて製作した、イタリアの手仕事の魅力満載のデスクです。
直線を使っている部分が見当たらず、脚部はピューマの脚を連想させるしなやかさです。
Cassina(カッシーナ)というと、革やメタルを使ったモダンでシャープな家具をイメージします。
しかし、チェコッティ・コレツィオーニは、それとは対極の、卓越した家具職人によるカーヴィな家具のよさを紹介しており、懐の深さに脱帽してしまいます。
ちなみに椅子は、「MARLOWE(マーロウ)キャスター スウィベルチェア」と呼ばれており、レイモンド・チャンドラーの小説の主人公、私立探偵フィリップ・マーロウをオマージュしているのが特徴です。
HAYAMA(ハヤマ キャビネット)|エントランスホール
出典:https://www.cassina.com/ww/en/products/hayama.html
日本の羽織にヒントを得て作られた、パトリシア・ウルキオラの漆仕上げのキャビネットです。
水平ラインのキャビネットに対して、45度に振られた脚部が折り紙のような陰影を作ります。
間口198センチ、奥行51センチですので、スペースに余裕があればエントランスホールのコンソールとして使ってみてはいかがでしょうか。
ジャパニーズモダンのインテリアにもマッチします。
MOOV (ムーブ)ベッド|ベッドルーム
出典:https://www.cassina.com/ww/en/products/moov.html?cas_rivestimento=F-F010#l32-moov_38244
ピエロ・リッソーニがデザインした、まるで宙に浮いているような、浮揚感たっぷりのベッド。
ヘッドボードのデザインが軽快で、カバーリングが取り外しできます。
シェーズロングのような使い方も楽しめます。夜はベッドとして、日中はシェーズロング・カウチのように、くつろげるソファとして重宝する一点です。
VOLAGE(ヴォラージュ) bed|ベッドルーム
出典:https://www.cassina-ixc.jp/shop/g/gvolage-bed/
上の画像は、Cassina(カッシーナ)2021 コレクションで発表された、フィリップ・スタルクがデザインしたベッドとベンチ。
ベッドの間口より広い、ワイドタイプのヘッドボードとベンチをつけるとカウチのような印象になります。
アルミ製のきゃしゃな脚とボタン留め仕上げのクラシカルなヘッドボードの組み合わせが新鮮で、カッシーナ的です。
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2022年6月のミラノサローネでは、皮革・木・クローム・ファブリックなどの異素材をコーディネートする「マテリアルコーディネート」がトレンドとなっています。
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