ON-OFFレイアウトを意識したホームオフィス
Withコロナ時代の現在、多くの方が自宅でのテレワークに取り組んでいます。しかし、もともと自宅はプライベートゾーンであることがほとんど。このため、自宅に急きょホームオフィス空間を追加するなどの対応を迫られた人も少なくありません。
社会情勢を考えてみても、どうやら今後しばらくの間はテレワーク業務体制を継続していく必要があります。
といっても、この1年半の中で行ってきたホームオフィス空間で課題や限界を感じている方も多く、長期戦を見据えたホームオフィスのスペースづくりについて考える必要がありそうです。
ON-OFFの切り替えをスムーズに行うスペースづくり
自宅でテレワークに取り組む方の多くが、自宅でもっとも大きなスペースであるリビングダイニングスペースか、もしくは個室として成立する寝室スペースや収納スペースをテレワークの場として活用されています。
スペースとして確保したものの、もともとそのスペースはプライベート空間として利用していたスペースが大半であるため、ホームオフィス利用(併用)にした場合、工夫が必要です。特にリビングダイニングスペースは、家族の常在、家事や生活で発生する生活音、プライベートのごちゃつき感、食事や子供たちの勉強といった、家族の空間や時間をホームオフィスが共有するための課題をクリアする必要があり、共存させるには物理的にも心理的にもなかなかハードルが高い・・ということが大きな課題になります。
また、テレワーク体制となると、移動時間がなくなるため、家というプライベート空間からの外出という意識的な切り替えがないままワークタイムに突入することになります。このように、意識的にも身体的にもON―OFFの切り替えがしづらいことで苦労されている方も多いようです。
ホームオフィス作りの中でまず考えるべきは、ON空間とOFF空間の切り替え。そのために、ワークスペースづくりから考えていきましょう。
ホームオフィス専用スペースを割り出す
まずは、ホームオフィスに利用するために必要なスペースを確保します。
多くの方は、ノートPCまたはデスクトップPC、それらを置くテーブル、チェア、資料を保管するスペースやプリンタのスペースなどが必要となります。
ホームオフィスとして最低限どのくらいのスペースをどこに確保する必要があるか、作業に必要な可動域も含めて寸法を図りましょう。
ワーク専用のためのデスクを設ける
リビングダイニングでテレワークをする場合、食事で利用するダイニングテーブルの一部を利用する、というケースもあります。
もともとあるスペースを活用できる反面、他の家族が食事の時間のたびに仕事道具を片付けたり、子供たちの宿題時にテーブルを共有することになったりと、意外とワークに集中できる時間帯が少ないと悩んでいる方も非常に多いです。
この場合、コンパクトなものでも折りたためる可動のものでも良いので、テレワーク専用のデスクを用意することで、まずは仕事に集中するための専用スペースを確保しましょう。
またテレワーク専用のデスクを設置する際、集中力をあげるために極力家事動線や通路の妨げにならないスペースに設けましょう。
既存の住空間に新たなホームオフィスの役割を持たせるには、新たに壁や間仕切りが必要というケースもあります。本棚やつっぱり式のウォールパーテーションをうまく活用して、ホームオフィスとプライベートゾーンとのゆるやかな間仕切りを作るのもONとOFFのスペースの切り分けに効果的です。ウォールパーテーションは床や天井に穴を開けないタイプが発売されているので、賃貸マンションでも気軽にトライできます。
チェアを用意する
デスクと同様、作業を行うためのチェアの用意も必要です。
ただ、チェアはサイズによっては可動域スペースが1㎡以上必要になってしまうため、そこまでスペースがなければダイニングチェアの1脚をテレワーク共有として使うということも検討しましょう。またキャスター付きでおしゃれなチェアを一脚用意して、作業チェアとダイニングチェアを併用する、という方法もあります。
ダイニングチェアをホームオフィス用として使用する場合、座って集中する時間が長くなるため、腰痛の原因になることがあります。また、デスクとPCと自分の肘の角度の最適な高さや角度が維持できないと肩こりや頭痛を併発することにもつながるので、作業としてのチェアは体や机の高さに合わせたものを選ぶことが必要です。
作業チェアで注意する点としては、チェアの可動域とチェアの座面の高さ(座面高)。限られた空間の中でチェアがどの程度の占有面積を占めるのか。椅子をひく、後ろを人が通る、といったことを想定して必要な占有面積を割り出してからチェアを用意することをお勧めします。
また、チェアの座面高は作業効率の上でとても重要な要素です。
最適な作業チェアの座面高は人間工学ではこのように計算します。
作業チェアの最適な座面高=身長(cm)÷4−1cm
つまり、身長170cmの方にとっての作業チェアの最適な座面高は、170÷4-1=41.5cmとなります。チェアを用意するときの参考にしてみてください。
防音と照明の効果を効果的に使ったホームオフィス
テレワーク専用のスペースを確保できたら、次に確保したいのが防音と照明。
防音については、生活音や家族の声の対策に頭を悩ませている方も多く見られます。
集中時やオンライン会議利用時は、極力ドアや壁で仕切られた個室で行うことが望ましいですが、どうしても個室の確保が難しい場合は、吸音材のパーテーションや、周囲の音を拾いにくい単一指向性のマイクなどを活用してみましょう。
また照明もホームオフィスに必要なツールの一つです。
部屋全体を照らす照明器具だけの照明だと、作業がしにくかったり、自分自身が照明を背にして作業エリアが影になったり、作業に必要な光が行き届かなくなる可能性があります。また、照明の光の色によっては、眠くなる、作業に集中しにくい光もあります。
仕事を効果的に行うためにも、PC画面や手元を照らすデスクライトや、そしてオンライン会議用に顔うつりがよくなるリングライトを活用して「光を足す」ことを工夫してみましょう。
光のON-OFFは、作業効率UPにも効果があるだけでなく、周囲の家族にも「現在仕事に集中している」という目印にもなります。また、休憩時間やワーク終了時などのON-OFFの切り替えにも役に立ちます。